今回の旅の終着点はローマにした。昨年のシチリア旅行中に知り合ったローマ在住の日本人女性に会うためだった。友人は自宅に滞在する様言ってくれたけれど、お子さんがまだ小さいので、ローマでの二日目だけ甘えさせていただき、初日は市内のホテルにとまることにした。ヨーロッパ旅行はいつも予約せずに飛び込みで宿をとったけれど、昨年ミラノでホテルが見つからず苦渋をなめたので、今回もローマだけはちゃんと予約していった。「今日は宿も決まっているから楽だね」と、テルミニ駅を降りると、タクシー乗り場には人の列ばかりでタクシーが全然いない。大変な行列ができていて随分待った。タクシーがいない、というより、列がちゃんとできていなかったり、タクシー乗り場がはっきりせず、タクシーが列の先頭より前で人をのせてしまったり...。要はみんながあわてててぐちゃぐちゃになっていることが分かった。そういえば今回の旅はとにかく移動がスムーズでかえってあわただしく旅をしたけどしてしまったけれど、本当はこれがイタリア時間だよねと妙に落ち着いた気分になる。
かくしてタクシーをつかまえホテルに向かったが、夜20時のローマの景観の本当に美しいこと。神殿や宮殿、彫像など、歴史的建造物が街中にあふれている。「ローマの休日」の頃の景色がまったく変わっていない。特に夜は観光客もホテルに帰って街が静まり返っていること、建物がライトアップされていていることから、とても幻想的な空間をつくっていた。
滞在先のホテルは、"Hotel S. Anselmo"という閑静な住宅地にあるヴェネツイアンスタイルのホテルで、昔の貴族の別荘を改造したものということだった。
窓からの景観がとても美く静かに滞在できるというのが魅力だった。
花が咲き乱れる中庭ではピアノの生演奏もしていて、滞在者も大人ばかり。ローマはとにかく賑やかな町だと思っていたけれど、こんな静かな滞在の仕方もあるんだなと思った。
このホテルでは、フィリピン風の品のいいボーイさんが対応し、荷物を運んでもらっても、翌日のタクシーを押さえてもらってもチップを受け取らない。心からホスピタリティのあるサービスをしたいからだという。三ツ星だけとかなりサービスのスタンスにこだわっているホテルの様だった。
<ローマで滞在したホテル>
"Hotel S. Anselmo"