翌朝、旅の興奮からかAM6:00にパチリと目が覚める。嬉しいことにとてもよく晴れている。エリチェは日中になると日帰りの旅行者がやってきてとても混雑するということだったので、朝のうちに散策をしてしようと思った。
エリチェの街は三角形でぐるりと城壁に囲まれている。小さな街の家々は昔ながらの石造りのままで、中世の町並みの様だった。もともとはエリミ人という山岳民族が築いたそうだけれど、ギリシャ、ローマの影響を受けたということで、とても洗練された雰囲気があった。昔のままの町並みの中に早朝一人たたずんでいると、時が止まっている様な気分になった。
城壁沿いを歩き、展望台を目指すと、街の人たちが「ボンジョルノ。パノラマはあっちだよ」と声をか
けてくれる。シチリアの人は素朴で、あたたかくて、とても親切だ。
パノラマでは、古城本体こそ無くなってしまったけれど展望台部分だけが残されていて、トラパニ、そしてアフリカを望む地中海をのぞむことができた。空気が澄んでいる事もあってか、ここからの景色は本当に絶景で思わず感涙してしまった。
そのままそこにしゃがみこんで声もなく、じっと景色を見続けていた。エリチェの街は小さく、見所も少ないけれど、この景色を見れただけでも本当に価値がある。
ホテルに戻り朝食をとろうとレストランへいくと、窓一面に、素晴らしい絶景が広がっている。
昨日は日も暮れていたので気づかなかったけれど、この窓からの景色こそがElimo Hotelの目玉なのだそうだ。シチリアというと皆タオルミーナを目指すけれど、逆の西側にもエリチェやその後にいったセリヌンテなど、美しい街がたくさんある。二度目のイタリア旅行をする人はこんな小さな街に訪れてみてもよいのではないかと思った。
朝食を食べると、数少ないバスが発車するというので街を出ることにした。ちょうどその頃には、パレルモから日帰りの観光バスが続々と到着していた。エリチェの街はホテルが少ないので、日帰りで訪れる人が多く日中はとても混み合う。朝、晩がとても静かで落ち着いてすごせるので、ゆっくり滞在したい人は一泊するのがおすすめだ。
バスでは最後に景色をみようと最前列に座ったけれど、海を見下ろす山道の景色もまた絶景だった。バスの座席は高いので、海のパノラマが飛び込んでくる様だった。バスは普通の基幹バスだったけれど、とてもすいていてほぼ貸切状態だったのでバスの運転手さんが運転しながらいろいろ話しかけ、エリチェについて解説してくれた。日本人はイタリア本土にはたくさん来るのにエリチェにはなかなか来ない、日本に帰ったらこの素晴らしさを是非日本人たちに伝えてほしいということだった。
<エリチェで泊まったホテル>
HOTEL ELIMO